ペンとキーボード:出力と入力

私たちは、今、ペンとキーボードを使い分ける時代に生きています。
(キーボードを使わない方ももちろんいらっしゃいますが)

ここでは、手書きのことを「ペン」、
パソコンや携帯・スマホで書くことを「キーボード」
と象徴的に呼ぶことにします。

昨今では、キーボードにペンが押されている印象ですが、
たかだか30年前にはペンしかなかったところに、
新しくキーボードが登場したので、
(日本にはタイプライターの文化がありませんし)
ペンの領域を浸食していくのは当然のことではあります。
それでもペンが息絶えるわけではなく、
キーボードを使う機会が増える程、かえって、
ペンならではの良さがはっきり見えてくる面もあります。

というわけで、ペンとキーボード、
それぞれのよさは何なのかについて、
今さらながら、考えてみようと思いました。

私が、ペンとキーボードについて感じるのは、
ペンは「出力」、キーボードは「入力」というです。

■キーボードは入力装置
キーボードは入力装置と言われます。
コンピュータに対してデータを入力するインターフェースです。
そして、私たちもキーボードでの作業を
「入力」ととらえていると思います。

「入力」である以上、入力するもの(文字、文章、音声など)が
あらかじめ用意されています(それが頭の中だとしても)。
目や耳から入っているものを入力するのにキーボードは強みを発揮します。

私はインタビューの仕事をする時に、
書記を専門の方にお願いすることがあるのですが、
そのたびに、そのスピードに驚かされます。
(ほぼ、会話と同時に文字になっていきます)
たぶん、速記に関しては、ペンよりもキーボードの方が早いのではないでしょうか。
もちろん人によって入力スピードは異なりますが、
キーボードの場合、速記のテーマによってよく出てくる言葉を
あらかじめ単語登録しておいて、
少ないキーストロークで入力するといった技を使える点でも、
ペンにはない強みを持っています。

そのほか、すでにある原稿を入力したり、
日常的なメールや投稿(書くべき事がすでに頭の中にあるような分量)を
書いたりするにはキーボードは向いているのでしょう。

■ペンは出力装置
一方、ペンは出力装置ではないかと私は思っています。
キーボードがコンピュータのインターフェースなら、
ペンは頭のインターフェースです。

言葉だけでなく、
映像、絵、図なども含めて、
頭の中にあるあらゆる情報、イメージを
紙などの平面に定着させる媒介役がペンです。

感覚としては、
頭の中の混沌から、言葉、線、図、色彩などのカタチを
紡ぎ出せるのがペンです。

重要なのは、
頭の中で、まだ整理しきれていない段階からでも
書きはじめ(出力しはじめ)、
書きながら、次のことが引き出される感覚です。
目の前に書いたものが、頭にフィードバックされ、
さらに考えが膨らんだり、整理されていく過程は、
ペンならではのものではないでしょうか。
「書いて考える」という言葉があるのがわかります。

ペンとキーボードは、アナログとデジタルという対比の中で、
ペンはアナログならではの情緒性=気持ちが伝わる、個性がある
といった良さで語られることが多いような気がしますが、
(そういった良さがあることも確かだとは思います)
ペンとキーボードの違いの根っこには、
今述べてきたような、出力と入力(役割の違い)が
あるのではないでしょうか。

ペン=手書きが今後も価値を持ち続けるのは、
「頭の出力」にこそあると思いますし、
そこに重点を置いた、商品開発やコミュニケーションが
もっとあってもいいのではないかと思っています。


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