書くにまつわる単語帳:「書き損じる」

「書き損じる」という言葉があります。
私にとっては、原稿用紙や便箋をまるめて放り投げるところを想起する
とてもアナログなイメージの言葉です。

パソコンなどのデジタルには、誤字脱字、誤変換はあっても、
「書き損じる」にふさわしいシーンは思い当たりません。
デジタルの利便性は、「書き損じる」という言葉を不要にしてしまっているかのようです。

なぜ、書き損じが生じるかを考えると・・
ひとつには、大幅な削除、段落の入れ替えといった思考の経緯によるものがあります。
パソコンなら編集と称して、何事もなかったかのようにきれいに修正できますが、
原稿用紙とかだと、最初から書き直したくなるような事態です。
言うまでもなくデジタルは修正するのが簡単なことが大きなメリットで、
それは日頃大いに利用させてもらっているわけですが、
一方で、経緯が残らないという特性を持っています。
「書き損じる」ことは結果だけを見れば、失敗に見えますが、
経緯を見れば、思考がたどる必然だったといえることもあります。
(まあ、単純な書き間違いも多いでしょうが)

つまり、「書き損じる」ことは(よほどの天才でもない限り)、
人間の正しい行為と、無理矢理言ってしまうこともできそうです。


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